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車検場までマシンを押していく。そこでみんな、Johnは彼女に、BoyoとDavedaveは奥さんに電話している。しかし何故エンジニア達は一緒に車検場に来るのだろう。エンジニアなんだからまずは琢磨君と話をしなきゃあかんはずなのに。マシンはいいから琢磨君とレースの時のマシンの状態や挙動、コンデションや作戦等その時に生きた情報を話さないといけないはずなのに。マシンから下りた状態でのいの一番の生きた情報って大切なんだよね。ま、それは話がズレてしまうからこっちに置いておいてっと、みんな電話をしている。とってもうらやましくなってしまった。自分には電話して喜びを分かち合う人はいない。しゃーないから?F-1エンジニアを目指してイギリスの研修室で勉強中のビークルダイナミシストの天才少年? もう少年ではない。24? 25? どうでもいいや。小松札雄君にでもかけるしかないか? ちょっと悲しいかも? ・・・しかし自分には喜びを分かち合えるメカニック仲間や友達、そして琢磨君が傍にいる。それはとっても幸せな事だ。本当にこの状況に感謝してこれからも頑張っていきたい。 緊張する最後の関門の車検も何事も無く無事に終了。この時に初めて心の底からホッと出来るのである。これで本当に肩の荷が下りる瞬間だ。そして車両保管に入ると同時にトラックとモーターホーム部隊を除く全てのメカニック達は帰りが遅くなる為、ここで慌ただしく帰路についた。残ったのはトラッキーのサイモンとアンソニーのメカニック二人ジミーとゲイリー、今回モーターホームドライバーとして来た、いつもは一樹のメカニックのリンゴ、そしてダラーラのパーツを販売している(カーリンってイギリスのダラーラ代理店もしているんですよ)マーティン、そしておいら事Dysonだけである。 そうそうダラーラの代理店と言えばドイツの代理店はお姉ちゃんがトラックにパーツを積み込んで1人でパーツのサービスにきていたけど、お姉ちゃん1人でパーツをさばいていた。ドイツ版細腕繁盛記って所か? ま、アレやと必要なくってもパーツを多めに買い込んでしまいそうやね。 車検場ではオフィシャルが本当にフレンドリーだった。オフィシャルのお兄ちゃんも興奮していろいろ話し掛けてきた。さすが琢磨君。その走りは観客だけで無くオフィシャルまでも味方につけ虜にしてしまったようだ。そして車両保管も終わって最後にピットまでの帰り道、かなり派手なお姉ちゃんがTiago Monteiroのメカニックと話をしだしてマシンのコクピットに乗り込んだ。するとカメラを持った人のリクエストでいきなり服を脱ぎ始めた。コクピットの中で上半身裸になりオッパイをブルンブルンさせてバンザイをして注目を浴びていた。「うっわ~、スッゲ~。生乳や。生乳。久し振りに見る生乳や!」と興奮してしまい、思わず見入ってしまった。お姉ちゃんがマシンから下りて服を着て次の期待が無い事を確認してからマシンを押してピットに向かって行った。ちょうどその頃コースではフェラーリのマシンがルカ・バドエルによってデモランの真っ最中の為、我々は通路でしばらく立ち往生、またしても“待ち”の状態になってしまった。すると偶然にも何とあの童夢のデザイナーの湯地夫妻とばったり出会った。本当嬉しくて懐かしかった。奥さんとは初めてお会いしたけど(童夢の奥さんではない)本当に可愛らしく綺麗な方だった。新婚さんだそうだ。大変だね。ご主人がレースの仕事をしていると。これからもまだまだ大変だと思うけどいつまでも仲良くお互いを理解して末永くお幸せに。話を戻して、そこで湯地君と話をしていると突然湯地君の奥さん(くどいけど童夢の奥さんではない)が「私ボディペイントって初めて見た」と言った。「あの顔に髭とか書いたり色を塗って国旗みたいにしたやつかい?」と聞くと違うそうな。裸でTバック一枚の上にジャガーとジョーダンのレーシングスーツのようにペイントをしたお姉ちゃんが歩いていったそうだ。な・何~ィ。急いで振り返ると本当に緑と黄色のスーツを来たお姉ちゃんがそこに立っている。しかしそれはスーツではなく本当に裸の上にペイントしただけの姿である。ジャガーは体を緑色にして、決して超人ハルクではない。ジョーダンは体を黄色にして、決してみかんの食べ過ぎではない。よく注意して観察しなければ本当に服を着ているのと見間違う程の出来栄えだ。生きていて良かった~。この嬉しさを噛み締めていると自分の前にマシンを停めているジャガーのAndre Lottererのマシンにジャガーのメカニックのディーンがそのジャガーのお姉ちゃんを呼んでマシンの前で記念写真を撮っていた。そうしたらやっぱりおいらとしたら一応ジョーダンがホンダという事でサイドポンツーンに大きくHONDAと入っているマシンとの記念撮影は礼儀としてしなければ駄目でしょう。しかし以外に照れ屋で引っ込み思案のおいらはカメラが無い事を理由に声をかけられずにあえなく挫折。この根性なしが。 しかしTiago Monteiroのマシンに乗り込んで脱いだお姉ちゃんといい、裸の上にボディペイントをして堂々とパドックを闊歩するZandvoortってラブリー。素敵です。さすが“オランダ!”って所でしょうか。しかしこれ以上オイラを追い込んでどうする! この先オイラはいったいどうすればいいのだろうか・・・コラ、責任取れ!
レース後にリザルトを見ると結果的に1位から4位まではイギリス選手権を戦うドライバーによって独占された。これはイギリスF-3の戦いの激しさを物語っているのではないだろうか。お祭りは終わった。この日が来るのをどれほど待ち望んだ事か。しかしこれはもうhistoryだ。重要な事は次のレースをどうまとめるかにかかっている。この勝利に浮かれる事なく、気合を入れなおして引き締めて次に望まなくてはならない。まだまだ戦いは終わってはいない。続いていくのだ。次はスコットランドにあるKnockhillに戦場は移る。ここでの勝利がシリーズ戦で大事になってくる事は言うまでも無い。その為にもワークショップに帰ってからマシンをしっかりとメンテナンスしいなければ。 流れを持続させるのは難しい。ちょっと努力を怠れば浮気性の勝利の女神はこの腕の中からスーッといなくなり去ってしまう。その為にも彼女のハートをギュッと話さず握り締めている為にも奢る事無く気を引き締めて次を頑張ろう。次はイギリスに戻ってシリーズ戦が待っている。この勢いを駆って怒涛の追い込みをかけなければ!
飯田一寿
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