British F3 Rd.21/22
Thruxton

今回は前回のKnockhillの第2レースが雨のため順延になり、このThruxtonの予選終了後に開催される。そして今回のThruxtonは今シーズンで最も重要な意味を持つ。それは今回のレースで念願のチャンピオンが決定する可能性があるという本当に重要な世紀の一戦となる。長い間待ち望んでいた日本人による伝統あるイギリス選手権の覇者が生まれようとする記念レースとなるか? そんなこんなでレースウイークに入った途端に頭痛と吐き気、胃のむかつき、そして訳も無く苛立ちイライラしっぱなしの週明けとなっていた。メカニックがそんなでどうする。まったくもうしっかりしいや!

今回のスケジュールは金曜日に50分×2回のテストと土曜日に第1レースと第2レースの予選がそれぞれ20分間あり、それが終了した後にKnockhillの第2レースが行われて、それに勝ってポイントを伸ばして日曜日にはいつものように2レース行われて、それにも勝ってチャンピオンを決めるという予定でいる。そうそう、土曜日の予選も当然二つともポールポジションね。これはもうお約束! という事で・・・

ワークショップからThruxtonまではM3とA303を乗り継いで約一時間しかかからない為、我々は毎日家からの通いとなる。
今回は金曜日の走行が午後2時からの為、朝はそれほど早くなくワークショップを7時45分の出発となった。サーキットに到着してまずはPitの設営、しかしThruxtonのピットは超狭い為、フロアもパーテーションも数が少なくホンマ、アッと言う間に完成。そしてタイヤをトラックから出してピットの外に積み上げた。ここで自分としては素早くタイヤのプレッシャーを調整したい所や。どうもこのタイヤのプレッシャーを早く調整し終わらないと落ち着かなくてしょうがない。それには自分なりの理由がある。タイヤを外の、特に太陽が当たる所に置いておくと当然タイヤの温度が上がり内圧もどんどん上がってしまう。直射日光は一番悪い。(もちろん一度調整した後なら問題は無いけれどもね。)そんなタイヤの内圧を合わせても走行中にプレッシャーが合うわけない。なんのデータにもならない。本当はタイヤのプレッシャーを測る時の温度や湿度の管理をしっかり行う必要がある。雨の日に入れた空気は水分が多いためか膨張率もかなり高くなる。そしてコンプレッサーで真空にしてドライヤーを使って、窒素を入れるのがいいのやけど、現在の我々のチームの状態ではそれはかなり難しいので仕方がない部分もあるが出来るだけ毎回同じ条件、できるだけ同じ温度の時にイニシャルプレッシャーを合わせる事が大切である。一番簡単な方法は朝一番のちょっと冷えた状態でタイヤのプレッシャーが一番安定している時に調整しておくのが現段階では一番確実な方法かな?と思う。その為にもタイヤを表に放置する前にチェックしておきたいんやよね。
そして後はマシンをチョコチョコッとしてゆっくりとテストまでの時間を過ごすばかり。そしてここ、Thruxtonは相変わらずの不安定な天気で晴れてはいるものの時々雨が降って来る。そしてお約束のように突然シャワーがあり路面をみるみる濡らしていった。ここThruxtonでこの雨を見ているとあの嫌~なあの出来事が思い出されてきた。そう、昨年の第1戦、雨のThruxtonでの大ギャンブルでスタートを思いっきりコケてしまったあの雨のスリックタイヤ事件が甦らなくてもいいのに甦ってきた。あのレースを思い出すと(嫌な思い出ですなぁ)感慨深いやね。いやぁ、すでに自分の中でトラウマになっているのでしょうか? あの時はそもそも・・・いや、愚痴は辞めましょう。その嫌な思い出をここで断ち切る為にもスパーっと(そう言えば今週F-1はスパですな。失礼。)気分良く勝ちましょうか! 過去は過去。全ては、現在と未来の為にあるのやから。後悔は経験として自分を高めなければいけない。そんなこんなで気合が入ってきたで~。よっしゃー、いっちょやったるわい! そんな事を考えているとシャワーはすぐ止み、また太陽が顔を出してきた。しかしそれも束の間、すぐまた雨が・・・そして晴れ。空は晴れ渡っているのに雨が降るという不思議な天気。ま、ここイギリスでは普通だけれどもね。
そんな天気に翻弄されながらもF-3の走行時間はやって来た。この頃になると天気も回復して空一面スカーッと晴れ渡った秋晴れの様相となっていた。
いよいよ今回初の走行や! 勝手に自分の中で盛り上がりそして思いっきり緊張した中、琢磨君を乗せたマシンはいつも通りにゆっくりとコースに出て行った。このThruxtonはイギリスで最も平均速度が速いサーキットである。こういう切れたドライバーが早いサーキットって琢磨君得意そうや。セッティングはま、日本で言うと富士のような感じのセッティングかな。ストレート重視の為、ダウンフォースを減らしてトップスピードを上げる一方でダウンフォースを減らすためコーナーではサスペンションを上手く使わないといけない。車高もトリッキーやね。タイヤにもきついし。ま、トータルバランスが重要ってわけやね。減らしたダウンフォースをサスペンションがしなやかに受け止めてコーナーリングスピードを上げる。言うのは簡単やけど結構難しいんやよね。
そのThruxtonでの第1セッションでは赤旗に次ぐ赤旗のラッシュでまともに走行が出来ない状況にも関わらず琢磨君は的確なインフォメーションを出して確実にマシンを仕上げていった。そして琢磨君は絶好調をアピールして堂々のP-1。流れは確実琢磨君にある。この流れをガッチリと掴んで離す事無く今回一気に行きたいものやね! 
インターバルでは1回目のフィーリングとマシンのデータロガーを元に、少しのセッティング変更とマシンのチェックを行い2回目のセッションに備える。
2回目のセッションでは赤旗も出る事無く50分間の充実したテストが行われた。ここでも好調を持続して琢磨君らしいポジションのP-1を誰にも譲る事無く守りきった。ホンマこの流れを日曜日のレースが終わるまで持続させていかなければ。その為にも我々のサイドで些細なミスを出してはいけない。マシンをしっかり仕上げなければ! 
テストも終わりいよいよ明日の予選に向けての作業を始めた。だからといって特別な事は何も無い。いつものように“普通”にノーマルにルーティンワークをしてサーキットを後にした。いよいよ明日からが本番や! 武者震いが出てきた。当然緊張感も半端ではない。しかし、これが心地よく?ホンマか? ま、自分の神経が研ぎ澄まされてきているって事で、かえって落ち着いてくる感覚がある。な~んか不思議でおかしいけど、これが自分なんやから今更しゃーないわな。無理に変える事無く自然に任せてやっていこう。とにかく明日は気合入れて集中して予選に望まねば!

テスト
POS NO DRIVER NAT TEAM CAR TIME
1 06 Takuma Sato JPN Carlin Motorsport Dallara F301 Mugen-Honda 1:06.981
2 18 Andy Priaulx GBR Alan Docking Racing Dallara F301 Mugen-Honda 1:07.079
3 04 James Courtney AUS Jaguar Racing F3 Dallara F301 Mugen-Honda 1:07.185
4 05 Anthony Davidson GBR Carlin Motorsport Dallara F301 Mugen-Honda 1:07.253
5 11 Bruce Jouanny FRA Promatecme UK Dallara F301 Mugen-Honda 1:07.320
6 07 Alex Gurney ITA Fortec Renault Dallara F301 Renault Sodemo 1:07.338
7 08 Gianmaria Bruni ITA Fortec Renault Dallara F301 Renault Sodemo 1:07.368
8 21 Mark Taylor GBR Manor Motorsport Dallara F301 Mugen-Honda 1:07.440
9 28 Ryan Dalziel GBR Duma Racing Ltd Dallara F301 Mugen-Honda 1:07.479
10 01 Derek Hayes GBR Manor Motorsport Dallara F301 Mugen-Honda 1:07.486
11 20 Rob Austin GBR Menu Renault Sport Dallara F301 Renault Sodemo 1:07.564
12 14 Matt Davies GBR Team Avanti Dallara F301 Opel Spiess 1:07.592
13 02 Jeffrey Jones USA Manor Motorsport Dallara F301 Mugen-Honda 1:07.640
14 03 Andre Lotterer GER Jaguar Racing F3 Dallara F301 Mugen-Honda 1:07.741
15 27 Jamie Spence GBR Duma Racing Ltd Dallara F301 Mugen-Honda 1:07.817
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