そして迎えた第2レース。ここで一気に流れを引き込めるか。重要な1戦や。

レースはPM 3:00スタートの予定が、F-3の前のフォーミュラフォードのレースで大クラッシュがあり、回収等に手間取った為かなり遅れてのスタートになった。
テントからピット前まで押して行く途中の車両待機所でしばらくの間のほほ~んと待っていた。
今日は朝から天気も良かったし、晴れている時は汗ばむ陽気やのに、ちょっと太陽が雲に隠れた途端寒い寒い。ブルゾンを着込む始末や。
そして太陽が顔を出した途端、気温は上昇していき半袖一枚でないと暑いくらい。
そしてまた雲に隠れると・・・いったいどっちやねん。はっきりしいや。と、空に怒っても仕方が無い。
とりあえずみんな着たり脱いだりの繰り返しや。
風も強いし。この天候がレースにどのように左右するのやろうか。

グリッドではストレートで絡んでクラッシュしたマシンを引っ張り出す為に、トラクターがストレート脇の泥の所を行ったり来たりしてスターティンググリッドは泥だらけになってしまった。これではスタートでホイルスピンを起こしてしまう。
自分たちはほうきとブラシを持ってきて、まずは自分達のグリッド周辺のコースの掃除を始めた。周りを見るとそれぞれのチームが掃除をしている。
みんな考えることは一緒なんやね。

このレースは重要や。こっちにきかけた流れをがっちりと掴んでチャンピオンシップを自分たちの手元に手繰り寄せる事ができるかどうか。この次がそれを左右する。

グリッドで琢磨君のマシンの前方に大きな泥団子を発見。取り除く。
とにかくライン上の邪魔なものは全て取り除かなければ。
それはポールのロットラーやマット・デイビスも一緒や。次からは取り除いてやるですよ。
とりあえずスタートでドキューンと決めて後方に排除せねば。

マシンはフォーメーションへとスタートし、タイヤを暖めながらホームストレートに戻ってくる。各列のオフィシャルがマシンが整列するとイエローフラッグを片付ける。
そして最後尾がスターティンググリッドに整列すると後方でグリーンフラッグが振られる。
スタートの準備は整った。
コントロールラインでは5秒前のボードが提示される。各マシンは重~いトリプルプレートのクラッチペダルを踏み込み、ギアを一速に確実に"ガコン"と入れる。
レッドシグナルが点灯! マシンは回転を上げリミッターを当てながらその瞬間を待つ。そしてレッドシグナルが消えると同時にグリーンシグナルが点灯する。
この瞬間マシンは解き放される。
本当はこの瞬間が一番うるさいはずなのに自分のイメージとしてはこの瞬間、一瞬時間が止まるような気がする。そう、自分の中では一瞬の静寂があるのや。不思議やね~。
そしてその静寂が静から動に変わった瞬間全ては矢のように高速で移動するンやね。
これが。そして自分達全てのメカニックは自分のマシンを目で追う。
無事にスタートできたか? 当たっていないか? 無事に1コーナーをクリアしているやろうか? 等いろいろな思いを描きながら。

そうしている自分達の視界に入ってきたものは砂埃とポーンと飛んでいく誰かのリアウイングやった。
一瞬Johnと顔を見合わせた。「うちちゃうか?」なんかオレンジ色のマシンと当たったような・・・そしてその後ろから自分たちと同じ色っぽいカラーリングのマシンが一直線に行ったように見えたけど・・・

とりあえず自分はサインガードに行きボードの準備をした。そして最終コーナーの方からマシンの音が聞こえてきた。
誰や? 最初に姿を現すマシンは? 来た。緑色? 黒に白のパトカーカラーでサイドポットは赤色のマシンちゃうの? そして順位を数えながら琢磨号を探すが見つからない。見落としたか? うんにゃ、誰も確認していない。すると1台ピットロードにゆっくりと一台のマシンが入ってきた。カーナンバーは6番の黒に白のパトカーカラーでサイドポットは赤色のマシンや。
自分は急いでサインエリアからピット前に。リアウイングが無い。
スペアを取り付けようとウイングステ-を取り外そうとするとそこにはミッションのエンドケースからぶち折れているリアウイングのステ-が。
時間内での修復不可能。残念ながらリタイヤとなってしまった。

もっと慎重にとか大事にとか言うかも知れへんけど、これはレースや。
攻めてこそ勝利が見えてくる。
そこで大事にとか、そんな考えをもったらかえって心に油断がでてきて長いシーズンを乗り切ることは出来ないだろう。
あくまでも攻めてこその勝利や。手っ取り早く言ってしまえば、当てられる前にもっと先に行ってしまえば良いのや。
当然や。今シーズン琢磨君は全てのドライバーの標的にされている。みんな琢磨君を包囲しているのだ。
だったらそんなのは気合で逆に弾き飛ばすくらいの気概で行きたい。
だからこそ今まで以上に予選が重要になってくる。
ポールからスタートを決めてスタート後の1コーナーではもう誰も琢磨君をおびやかす事の出来ないようにダッシュを決めることが大事になってくる。
勝負は昨年よりも厳しくなっている。負けずにがんばっていこうと思う。

しかし掴みかけた流れやったけど浮気性な勝利の女神様はするりと腕の中から逃げていってしまった。やはり無理やりにでも縛り付けておくべきやったか? そっちの気があったかも知れんし・・・しかし、現実としてリタイヤと言うリザルトだけが残った。

流れはまだ来ていない。
せっかく勝ち取った1勝やけど、まだまだこれからや。
こんな言い方は悪いかも知れへんけど、がむしゃらにがんばって勝つのは簡単や。
(誤解しないで下さいね。当然勝つのはすっごく大変で難しく、素晴らしい事なんですよ)しかし、その次連勝するのはもっと難しい。ただがんばればよいものではない。
1度勝つ事によって次はそれを防衛する手段を取らなければいけない。
ラッキーで勝つ事は出来ても本当の実力が無ければ連勝は出来へんのや。
当然相手に対するインパクトも違うしダメージも違う。
精神的にも優位に立てる。その為にも連勝は本当に大事だ。
当然それはそう簡単に出来る物ではないが、琢磨君ならできるはずや。
連勝こそ真の実力があってこそ勝ち得るものだ。その連勝をするにはつらく厳しい試練を乗り越えてこそ獲得できるものや。まだまだこれから。先は長い。
そして次のOulton Parkで証明したるかんな!

飯田一寿

第2レース決勝
POS NO DRIVER NAT TEAM CAR TIME
1 03 Andre Lotterer GER Jaguar Racing F3 Dallara F301 Mugen-Honda 20:52.182
2 04 James Courtney AUS Jaguar Racing F3 Dallara F301 Mugen-Honda 20:56.702
3 01 Derek Hayes GBR Manor Motorsport Dallara F301 Mugen-Honda 20:58.330
4 18 Andy Priaulx GBR Alan Docking Racing Dallara F301 Mugen-Honda 21:01.822
5 10 Ryan Dalziel GBR RC Motorsport Dallara F301 Opel Spiess 21:06.650
6 08 Gianmaria Bruni ITA Fortec Renault Dallara F301 Renault Sodemo 21:07.176
7 02 Jeffrey Jones USA Manor Motorsport Dallara F301 Mugen-Honda 21:08.462
8 20 Rob Austin GBR Menu Renault Sport Dallara F301 Renault Sodemo 21:17.773
9 07 Alex Gurney ITA Fortec Renault Dallara F301 Renault Sodemo 21:19.143
10 19 Tim Spouge GBR Menu Renault Sport Dallara F301 Renault Sodemo 21:29.653
11 17 Paul Edwards USA Alan Docking Racing Dallara F301 Mugen-Honda 21:30.463
12 52 Robbie Kerr GBR Fred Goddard Racing Dallara F398 Renault Sodemo 21:34.269
13 55 Michael Keohane IRL Meritus Racing Dallara F398 Toyota 21:36.936
14 58 Matthew Gilmore GBR Performance Racing Dallara F398 Opel Spiess 21:37.326
15 11 Bruce Jouanny FRA Promatecme UK Dallara F301 Mugen-Honda 21:37.985
Retirement 06 Takuma Sato JPN Carlin Motorsport Dallara F301 Mugen-Honda -
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