その為、今回は何故かトラックの中にBBQセットと冷蔵庫が二つ、そしてビールとワインが大量に載っている。トラッキーは仕事をそっちのけでTESCOに肉を調達に行ってしまった。ま、我々琢磨号のチームはいつも通りしっかりやるから大丈夫。周りの雑念に振り回される事の無いように気合いを入れて頑張るで~!
という事で、今日はトラックのオーニングを張って床を敷き、オーニングの中にパネルを建てて今日はおしまい。皆は早速BBQの支度に入った。そこで自分とJohnはマシンのチェックを今日は簡単に終わって帰る事になった。
しかし帰り際にJohnが2年前に所属していたEurpienチームのマネージャーとばったり会って、F-1のパドックピットに案内された。(さっきと言ってる事が違うけど、その様な理由でF-1のパドックに行って来ました。そしてJohnは2年前はヨーロピアンチームのF-3000のメカニックもやっていた。)
しかし最近のF-1は凄いね。パドックの入り口に個人のIDカード(メカニックも全て持っているパスに内蔵されている)を持っていて、それをスーパーマーケットなんかのレジのように赤外線? 磁気? よう分らんけどそこに通さないとゲートが開かない。そしてもし誰かに貸そうものなら、パドックをでる時にもそこに通さなければならない為、通さずにカードを持ち出しても、入るときに出た時の記録が残っていない為、ゲートは開かない仕組みになっている。しかしそんな事までそんなに金をかけなくても良いのに・・・
自分とJohnはラッキーな事にヨーロピアンミナルディのマネージャーが、招待者が帰るのに送って出て来た所でそのゲストパスを持っていたのだ。そのパスでゲートを“ピッ”とやって中に入ると、そこにはあのF-1の世界があった。しかし最近のモーターホーム、ケータリングは本当に凄い。もうトラックと言うよりも本当に前線基地。普通の、それもかなり高級な建物のようになっていて、それがトラック、バスで道を走ってきたとは到底思えないつくりだ。
そしてパドックを歩いているとヨーロピアンチームだけでなく、いろいろなチームのメカニック達が「アッ、Johnやないか。元気か久し振り。何をやっているんだ? 戻ってくるのか?」等、すれ違う人全てから声をかけられて握手が絶えない。やはり長年この世界にいただけのことはある。そればかりではなく、皆から愛されるのはそのキャラクターと人柄の為だろう。本当に素晴らしい。しかしおいらももし日本のFormula-NIPPONのパドックに行けばそんな扱いをされるはずや! 絶対! いや、多分・・・
そしてマクラーレンのピット前に来ると、中にはすでに元マクラーレンで現在カーリンのアンソニーのエンジニアのエイドリアンが中にいた。アロウズの前に行くと元アローズのNo.1メカニックでカーリンの一樹の担当エンジニアのDorkyがいた。みんなこの世界で働いた事のあるF-1メカニック達だ。正直言ってかなり悔しかった。自分は何をやっているのだろうかと悲しくなってしまった。自分もこっち側でなく、あちら側に早く行かなければ。
そして自分とJohnはヨーロピアンミナルディのピットに行って、しばらくマシンやピット内を観察してきた。そしてピットロードを歩いて1通りのチームを見学してきた。車検場の様子も観察できたし、とても良かったと思う。そしてその時もJohnはあちこちのピットの中から声がかかっていた。本当にうらやましく思った。
そうしてまたヨーロピアンのピットに戻った。ここで感じた事は、正直言ってパドックを歩いてモーターホームの所にいたときにはちょっと違和感があって、ナーバスな気持ちになってしまった。しかし、ピットロード、そしてピットの中でマシンのそばに来てみると、不思議な事にとてもリラックスした気分になっている自分がそこにいた。モーターホームの一杯あるパドックでは馴染めない気持ちが強かったのに、ここに来たらとてもエキサイティングしてきて、攻撃的ないつもの感覚になってきた。そしてそればかりではなく、とてもリラックスしてきたのには自分でも驚いた。自分はやはりこの場所、マシンのそばで本当は工具を持ってマシンと会話しながら働いているのが一番自分らいしのだなと、自分で勝手に納得してしまった。その為にも来年は頑張るで~。
しかし、最初に言ったけど今回のF-1は今日で終わり。明日からはF-3だけに集中して、F-1は完璧に頭から切り離してF-3に自分の全て、全身全霊を傾けて取り組んで行こう! がんばるで~!

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