一夜明けて今日は朝6時の出発。自分とJohn、そしてGazの3人での出発だ。途中渋滞も無くスムーズに行くかと思いきや、やはり今日からすでにサーキットの周辺ではかなりの渋滞が始まっており、それに捕まってしまった。ま、予想していた事だから早めに出たんやけどネ。集合は一応9時やったけど予想より1時間早く着いてしまった。そして予選時間は予定では3時開始の25分間の予選一発。物凄く時間がある。何して過ごそうか? もっと遅めの集合でも良いかと思うでしょう? 駄目なんだなこれが。なんたって朝の10時から車検が始める為、それに準備をしないといけない為、走行は遅くても朝早くに行かなくてはならないという、何ともトホホな事なわけやね。
ちょうど車検にオフィシャルがオーニングに現れた頃、コースからはけたたましいマシンの排気音が聞こえてきた。F-1のフリー走行が始まった。みんな見に行くが自分はもちろんF-3に集中したい為、行かない様にしていた。すると親切にもJohnがわざわざ呼びに来た。「Dyson、F-1のフリー走行が始まっているぞ。一緒に行こう!」しかし自分は・・・と思ったが、そこで断るのもわざわざ呼びに来てくれた彼に失礼かと思い、一緒にコース脇まで見に行った。しかし、普段F-3さえもストレート以外走っている所を見た事がない。
(よくよく考えてみると日本にいたときにもこっちに来てからも、ピット前でしかマシンを見た事は無い。サーキットもパドックしか知らない。昔鈴鹿で自分の担当のF-3000がクラッシュして、それを確認しにスクーターで行こうとしたが、途中で道が分らなくなり観客の人にどう行けばいいのか聞いた事もあった。)
とにかく凄いのは凄いけど、はっきり言ってよく分らん。しかしエンジニアやったら、走行中のマシンの挙動等確認してセッティング、ドライバーとのコミュニュケーションを取る上で大事な事やと思う。見慣れてくればマシンの挙動、アンダーオーバー、ギア比の選択、ライン取りなど全てが見れるのだから。しかしおいらはメカニック。それよりもピットの様子が知りたい。どのような仕事の進め方でやっているのか、セッティングの進め方、一人一人の仕事分担や伝達方式、使っている工具の内容、使用方法等を見る事の方が興味ある。そしてそのF-1が走っている所を見ているうちに無性に悔しく悲しくなってきた。何で自分はこんな所で見ているのだろうか? なぜあっちのパドック側でピット前でマシンを待っていないのか、怒りにも似た気持ちが溢れ上がってきた。とにかく悔しい。とても見ていられなかった。Johnにオーニングに車検員がくるといけないので先に戻っていると告げてそこを後にした。自分が情けなくなってきた。惨めな気持ちを引きずってオーニングに戻ってきた。「早く気持ちを切り替えないと」と自分で思っていたが、F-3の傍らに戻った途端いつもの気持ちに戻った。ここが自分の場所や。今年は。ここで全力を傾けて一生懸命ダラーラを可愛がってやらないと。マシンがとても愛しく見えてきた。いつもの事やけど。気持ちは切り替えられた。そこで自分はポリッシュクロスとワックスを取り出してマシンを磨き始めた。自分の中でスーッと落ち着いていくのがはっきりと分った。This is the place. もう迷いは無くなった。今日も攻めて攻めて攻めまくったるで!

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