マシンのチェック完了とともに奇数組の予選2回目が始まった。しかしzandvoortの定説を打ち破り、予想に反して思ったほど午後のコンデョンは悪くならずに中にはタイムアップするドライバーも出て来た。しかし自分達もまだNEWタイヤも1SET温存している。いろいろなチョイスが出来る。余裕余裕。ま、周りの出方次第でどうにでも作戦は変更できる。しかし基本的には明日の決勝を睨んでの決勝セッティングの煮詰めをこのセッションでの課題として望む事になっている。
そしていよいよ偶数組の予選が始まった。まずは一回目の予選でタイムを出したタイヤでのコースイン。目的はあくまでも決勝用のセッティングに重点を置いている。セッション中にスプリングを変更してマシンのバランスの確認をすることも予定に入っている。まずはコースインして各部の確認とバランスとコースのチェックをして感じがつかめたらピットイン。ここで予定通りのスプリング交換と他のセッティングをしてマシンをコースに送り出す。マシンは順調に周回を重ねていく。そして最後の最後にNEWタイヤを履いてここで駄目押しの一撃。相手のやる気を無くさせる堂々のP-1Get! タイム計測一回だけのタイムでこのタイム。これで明日に向けて万全の態勢を築いた。しかし油断は禁物だ。本当の勝負は明日。明日に向けて気合を入れてマシンのチェックをして明日に向けて備えよう。
その前に当然トップの試練とでも言うのだろうか、またあの長い道程をマシンを押して車検場まで持っていかなければならない。おまけに車検場の建物の中はビニールハウスのように一歩足を踏み入れた瞬間サウナ状態。北国から来たイギリス勢にはこたえる暑さやね。しかも車両保管もある。みんな車両保管は建物の外での待機やねん。そして車両保管も終了してまたマシンを押してピットまで押していく。しかし今回はいつもとは違ってピットまでの長い道程をちょっとタイトなMarlboroのレーシングスーツを着た綺麗なお姉ちゃんがわんさかわんさかとGメン'75のように歩いてくる。(キャンギャルか?)お姉ちゃんのレーシングスーツ姿ってかなりそそられるわ。一度シートベルトを締めてみたいものやね。アッ、ごめんネ琢磨君。ほんの冗談やから・・・
それにもっと過激な服装のPentHouseギャルも群れをなして歩いてくる。そういや去年もこいつらいたっけ。去年は皆で記念写真一緒に撮った記憶がある。今年は写真は無かったけど本場のPentHouseマガジンを皆で頂きました。スポンサーのプロモーションか? そんな事もあり帰りはアッという間にピットまで辿り着いてしまいました。人間ってげんきんなものだよね。

予選後マシンのチェックを済ませて明日朝一で行われるフリー走行の準備を終わらせてサーキットを後にした。が、カーリンの面々はサーキットの中にあるMickey's BAR に出かけて、そのままナイトクラブやコーヒーショップへと流れ込むそうだ。オランダでコーヒーショップと言えばコーヒーを飲む所ではない。なんでレース中にそんな所に行くのだろうか? 自分達には考えられない。自分とJohnはコーラとビールを少しだけ飲んで明日に備えてホテルへと先に二人だけで帰っていった。

ホテルではJohnと二人でホテルのレストランで夕食を取る。その時にJohnといろいろ話をした。彼は皆が何故レースなのに自分の体調管理もせず体をリラックスさせてレースに臨まないのか不思議だと言う。その通りである。ドライバーだけでなくメカニックもレースに向けてコンセントレーションをしてリラックスして万全の体調でレースに向かわなければいけない。たとえ自分が大丈夫だとしても朝メカニックが酒臭かったり明らかに寝不足でダレていたりしたらドライバーはどんな気持ちでマシンに乗り込むだろうか? そんな疲れた体で集中していないで組んだマシンに安心してメカニックに全信頼を置いて乗り込みドライブする事が出来るだろうか? モータースポーツは、特にドライバーはメンタルな部分でのタイムに影響する所が大きい。ドライバーのそういったメンタル的な部分もサポートして補ってやるのがメカニックやエンジニア、マネージャーの仕事でもある。自分もJohnもその考えは一緒の意見だ。本当にこいつとはいろいろな面で意見が一致して、本当仕事も仕事を離れても自分達は良いコンビだと思う。
そしてありがたい事に彼がこんな話をしてくれた。Johnが言うにはF-1に居た時には友達も多かったがF-1を離れた途端多くの人が友達で無くなったと言う。昔から分ってはいたけれどもレースの世界での本当の友達は4人しかいない。1人はティレルでずっとコンビを組んでいて今はF-1のオンボードカメラの仕事をしているロジャーであり、次に同じくティレルでずーっとチーフメカニックをしていて今はヨーロピアンミナルディの2シーターの仕事をしていて名前は一緒だが別人でもう年は60を越えているけれどもanotherロジャーと現マクラーレンのコリン。そしてDysonの4人だけだ。一番の友人はコンビを組んでいたロジャーで後の3人は一緒くらいだ。でも気を悪くしないでくれ。それはDysonよりもズーッと一緒に仕事をしてサーキットでもホテルでもDysonよりも長い時間一緒の部屋で寝泊りして仕事も長い時間一緒にして長いあいだ一緒に生活していたからだ。でも本当にレースの世界で本当の友達と言えるのはこの4人だけだ、と真剣に語ってくれた。
本当に嬉しかった。たった2年間しか一緒に仕事をしていないのにこんなに思ってくれているなんて。そして来年もしDysonがF-1に行ったら俺も本当に嬉しい。自分はもうF-1は経験して過去の事になっているがDysonはまだこれからだ。だから自分よりもDysonの方がこれからのF-1は必要であり重要だ。だから自分も出来る限り力になる。しかし、来年一緒に仕事を出来なくなるのは寂しい、とまで言ってくれた。もう感謝感激である。自分もこのJohnとの関係をこれからもズーッと続けていきたいと思った。
そして夕食をとった後二人でホテルの外の海岸へ行き、日本で言う所の海の家みたいなパブに行ってしばらく潮風に打たれながら食後のビール(John)コーク(Dyson)を飲みながらまだ海岸の砂浜や海で戯れている若いお姉ちゃんを眺めながら安楽椅子でしばらくリラックスして部屋に帰っていった。明日はいよいよ勝負の日である。自分達も気合を入れていっちょやったるで~!

しかし部屋に帰ってもリラックスしようにもいつも通り緊張して寝付く事が出来ない。体は疲れている。しかし目だけは冴えてしまい体はダルイのに頭は眠る事を拒否している。しかしそれはただ興奮しているだけの事。皆も憶えがないだろうか。子供の時に遠足の前の晩なかなか寝付けなかったあの思い出が。ちょうどあんな感じとでも言うのだろうか。お菓子は300円まで。バナナはお菓子に含まれない・・・バナナ? アムスのバナナバー。高っかいバナナや・・・?
そんなとりとめの無い事やレースの事、マシンの事、今後の事等ベッドの上で横になりながら漠然と考えが頭の中を走馬灯のようにグルグル廻っていた決勝前の夜であった。

第2予選偶数組
POS NO DRIVER NAT TEAM CAR TIME
1 04 Takuma Sato JPN Carlin Motorsport Dallara F301 Mugen-Honda 1:33.978
2 44 Bruce Jouanny FRA Promatecme UK Dallara F301 - Honda-Mugen 1:34.216
3 22 Andre Lotterer GER Jaguar Racing F3 Dallara F300 - Honda-Mugen 1:34.535
4 08 Toshihiro Kaneishi JPN Opel Team BSR Dallara F300 - Opel-Spiess 1:34.833
5 26 Hannes Lachinger A GM Motorsport Dallara F301 - Toyota-TOMS 1:35.022
6 30 Kousuke Matsuura JPN Prema Powerteam SRL Dallara F301 - Opel-Spiess 1:35.109
7 24 Nicolas Kiesa DEN GM Motorsport Dallara F301 - Toyota-TOMS 1:35.150
8 12 Derek Hayes GBR Manor Motorsport Dallara F300 - Honda-Mugen 1:35.167
9 48 Tom van Bavel BEL JB Motorsport Dallara F399 - Opel-Spiess 1:35.217
10 14 Jeffrey Jones USA Manor Motorsport Dallara F300 - Honda-Mugen 1:35.241
11 32 Ryan Briscoe AUS Prema Powerteam SRL Dallara F300 - Opel-Spiess 1:35.283
12 28 Andy Priaulx GBR Alan Docking Racing Dallara F301 - Honda-Mugen 1:35.364
13 02 Mathieu Zangarelli FRA Signature Dallara F399 - Renault-Sodemo 1:35.417
14 36 Alex Gurney ITA Fortec Renault Dallara F301 - Honda-Mugen 1:35.527
15 16 Paulo Montin ITA RC Motorsport Dallara F300 - Opel-Spiess 1:35.550
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