予選終了後にアンソニーがレッカーに乗せられ帰ってきた。マシンのダメージはリアウイングとエンジンカウル、リアフロア、リアの左のロワアームを曲げただけだったって、かなりのダメージやん。我々は予選後の再車検と車両保管を終えてオーニングに戻るとアンソニー号のチームはすでにチームは大忙しでマシンの修復に取りかかっていた。しかし調度その時、何かのアンケートにお姉ちゃんがオーニングを訪れた。このお姉ちゃん達は肌にまとわりつくようなタイトで薄手の生地の赤いスーツを着ていてかなりそそる姿である。するとみんな忙しいはずの手を止めてお姉ちゃんの所に行きアンケートに茶々を入れながら答えている。おいおい、君達忙しいんじゃないのかい? そんな事をしている暇はないはずでは・・・おまけに喋りながら笑いながら仕事してるし。喋りながら仕事をすると言っても喋りながら手も動かすのでは無く、喋っている時は必ず手も止まっているやん。本来は手を動かしている時はそこに集中して意識を他にそらすべきではない。そもそもちゃんとしっかり考え確認しながら仕事をしていれば口は動かないはずである。仕事を終わらせ後から自分のやった仕事、個所、やり方等思い出し確認した時にしっかり思い出せなくなるようではダメである。それが喋りながらだと後で思い出す時に曖昧な事しか思い出せなくなっていると思う。喋りながら仕事をするなとはそういう事である。そして例えばしっかり仕事が出来るメカニックが自分は大丈夫と他のメカニックと喋りながら仕事をしたとしよう。確かに彼は大丈夫かも知れない。しかし喋る事で相手のメカニックの能力では喋りながらの仕事では100%の仕事が出来ないかもしれない。そういうことである。自分だけでなくそれによって自分以外の周りのメカニック達がどうなるか等も考えなければならない。自分1人でやっているのでは無いのだから。自分が人に喋りかける事によって周りの集中力が落ちる事を考えながら仕事をしなければいけないと思う。何もまったく喋るなとは言っていない。その状況等考えてもっとメリハリをつけるべきだと思う。そして自分中心でなく、相手のレベルや人間の性格をも考慮にいれて考えなければいけない。自分もよく人がギアなどを組みながら喋っているのを見るとしっかり仕事に集中しているのかどうか考えると心配になってしまう。それは仕事をしている人間も考えなければいけないが、喋り掛ける方ももっと考えなければならないと思う。相手が今どういう状況なのかを考えれば判るはずである。メカニックは口で仕事をするのではない。口で仕事をするのは風俗のお姉ちゃんの仕事である。それなら大歓迎なのだけれども・・・

我々のチームは2回目の予選に備えてセッティングを大幅に変更してマシンもしっかり仕上げて静かに予選を待った。まずはコースとセッティングの確認をする為、中古タイヤでのコースインである。予選1回目と同じようにマシンを押してピットロードまでの移動である。今回は少し早めに出て行き、ピットロード入り口の所でしばらく待機となった。琢磨君はゆっくりと乗り込み、マシンをゆっくりとコースに向けて出て行った。しばらく周回を重ねてピットイン。そこで少しセッティングを変更していよいよニュータイヤである。しかし丁度時を同じくしてあちこちでコースアウト続出の為、黄旗が連続して出てしまった。まともにタイムアタックが出来ない。その為、タイムもなかなか伸びない。なんか今ひとつリズムに乗り切れていない感じや。タイミングに合わせられないと言うか、コースがクリアになると思うと前方にペースの遅いマシンに捕まったり、充分に車間をつけていよいよタイムアタック!をかけるとまたしても黄旗がでてしまうという悪循環である。しかしそんな中琢磨君は必死でタイミングを計ってタイムアタックを繰り返す。しかしそれに反してマシンはなかなか琢磨君の言う事を聞いてくれない。どうしたダラーラ。お父さんはそんなわがままな娘に育てた覚えは無いぞ。もっと素直ないい娘に育てたはずなのに・・・もっと素直になって琢磨君の言う事をちゃんと聞かなきゃダメだぞ。あれほど琢磨君に迷惑をかけるなって言って送り出したのに。やっぱり親ばかで娘を甘やかして育てたのがいけなかったのか、今日は我を張ってなかなか素直に言う事を聞いてくれないみたいや。ごめんネ。琢磨君。帰ってきたら娘をしっかりとしつけ直すから今日はこれで何とか頑張って・・・。しかしタイムは伸びない。残り時間は後わずかになっている。これが最後のアタックだ。琢磨君は渾身の力を込めて最後のアタックに入った。しかしついていない時には全てが悪い方向に行くものである。なんとその周に赤旗が出てしまいそのままチェッカーとなってしまった。タイムは47.606で悔しい、本当に悔しい3番手のタイムとなってしまった。しかし大事な事はこの状態のマシンが不安定なこの原因をしっかりと追求して明日のレースには全て把握して直しておく事だ。その為にもデータを分析して確実に理解しなければならない。明日にはマシンを確実に戦闘力を上げるようにしてレースに向けてやり直そう。

走行後にオーニングで明日に向けてマシンをメンテナンスしていると突然大雨が降ってきた。本当に大雨。近くのトイレは水がトイレ中浸水して足のすね位までの水位になっている。当然あちこちでも被害は出ているようだ。天気予報では明日は雨になるみたいだ。雨は嫌やけど琢磨君なら雨は超速い。雨なら間違いなくブッチギリで勝つ事だろう。しかし天気ばかりはどうしようと変えようがない。あまり考えずに空任せ、天気任せにして自分達は惑わされる事無く確実に自分達の仕事をキチンと責任を持って遂行しよう。そして何気なくテント裏を見ると誰が使用したのか分らないがリベットの芯が使いっぱなしで地面に散乱していた。何故使い終わったら責任を持って片付けない。ゴミが出たらその場でゴミ箱に捨てるべきだ。1つの仕事が終わったらその場で片付けていけばゴミも出ないし綺麗に保つ事ができる。それよりもこのリベットの芯に関しては何よりも危険である。こんな事はやってはいけない事なのである。リベットの芯は釘と一緒である。これがタイヤに刺さったりでもしたら大事故になってしまう。Doningtonでのパンクチャーを忘れたのだろうか? パンクチャーならまだいい。バーストでもしたら本当に大変な事になる。なぜこんな事も考えずにやりっぱなしでおくのだろうか。これにはかなり怒りを覚えた。しかし怒っていても始まらない。とにかくこのリベットの芯を丹念に拾い集めた。もっと何事も考えながら仕事をする事が大切である。ひとつひとつを考え積み重ねて行く事が大切である。自分もただ文句を言うだけでなく“人の振り見て我が振り直せ”ではないが、もっともっと気をつけながら考えて仕事をして行きたい。

第2レース予選
POS NO DRIVER NAT TEAM CAR TIME
1 05 Anthony Davidson GBR Carlin Motorsport Dallara F301 Mugen-Honda 47.429
2 18 Andy Priaulx GBR Alan Docking Racing Dallara F301 Mugen-Honda 47.489
3 06 Takuma Sato JPN Carlin Motorsport Dallara F301 Mugen-Honda 47.606
4 04 James Courtney AUS Jaguar Racing F3 Dallara F301 Mugen-Honda 47.707
5 02 Jeffrey Jones USA Manor Motorsport Dallara F301 Mugen-Honda 47.767
6 14 Matt Davies GBR Team Avanti Dallara F301 Opel Spiess 47.826
7 08 Gianmaria Bruni ITA Fortec Renault Dallara F301 Renault Sodemo 47.886
8 01 Derek Hayes GBR Manor Motorsport Dallara F301 Mugen-Honda 47.895
9 03 Andre Lotterer GER Jaguar Racing F3 Dallara F301 Mugen-Honda 47.922
10 11 Bruce Jouanny FRA Promatecme UK Dallara F301 Mugen-Honda 48.009
11 21 Mark Taylor GBR Manor Motorsport Dallara F301 Mugen-Honda 48.039
12 12 Atsushi Katsumata JPN Promatecme UK Dallara F301 Mugen-Honda 48.086
13 20 Rob Austin GBR Menu Renault Sport Dallara F301 Renault Sodemo 48.171
14 07 Alex Gurney ITA Fortec Renault Dallara F301 Renault Sodemo 48.361
15 28 Ryan Dalziel GBR Duma Racing Ltd Dallara F301 Mugen-Honda 48.577
BACK NEXT