朝起きて重苦しい雰囲気を自分なりに断ち切ってワークショップへと向かって行った。今日はJohnはSallyを連れてサーキットに同伴出勤?の為、自分の車での移動だそうだ。自分達はミニバンでチャンピオン決定の為のThruxtonへと向かって行った。朝は低く雲が垂れ込めてはいたが雨は降っていなかった。だがサーキットが近づくにつれ雨が降ってきた。その雨はサーキットに到着するとその激しさを増していた。我々はガレージに行きシャッターを開けて昨日仕事が途中で終了した為、残りの仕事を片付けに入る。その頃サーキットでは昨日の事故の事が話されていたがどうやら死亡事故とは誤報であって母親は重傷ではあるが命に別状はまったく無く、子供はかすり傷程度だという話だ。これを聞いて一気に体中から元気が湧き出してきた。なんか無性に嬉しくて仕方が無い。妙にニコニコしてしまい口数も増えてしまった。本当に良かった。しかしそれなら昨日のうちにしっかりと報告せいっちゅーねん。それにあんなにあわててシャッターを閉めさせるんやないっちゅーねん。ホンマもっと早く大丈夫と言えや。でも、まっ、無事だからよしとしよう。これで心置きなく勝ってチャンピオンを決めてシャンパンで大喜びできる。やはり何の心配も無くチャンピオンを決めた瞬間は心の底から喜びたいもんね。本当良かった良かった。しかし怪我をしたのは事実である。死亡事故にならなかったのは不幸中の幸いである。これを教訓として2度とおこしてはいけないことと肝に銘じていかなければならないと思った。

そして天候は雨は止んだもののまだ霧雨が降りしきっている。しかしその霧雨も10:30頃から空は晴れだしてきて太陽も少しだけやけれども顔を出してきた。そしてレースは晴天の中でのスタートとなった。ポイントはどうなってるのやろう? どこでチャンピオンが決まるのだろうか? いつもとは違った考えが頭をよぎった。いやいや、そんなポイントなど気にしてはいけません。このレースもいつもと同じに後の事など考えずにこのレースで勝つ事だけを考えて、それに集中しなければと思い直して攻めの気持ちでレースに望んだ。今回のグリッドはフロントローながら斜め前にチームメイトのアンソニーが止まっている。自分達は2番手のグリッドに着いて琢磨君を待つ。琢磨君はゆっくり各車をよけながらグリッドに静かに止まった。自分達はいつも通りのルーティンワークを行い、そして昨日のように違うタイヤのセッティングに最後の調整をグリッド上で行った。そして時間は来た。エンジンをスタートさせて琢磨君とガッチリ握手。そして自分達は持ち場へと戻って行った。コンクリートウォールの向こう側では各車フォーメーションへと走り出す。そして短い旅を終えて各車自分のグリッドに止まり、スタートの時を待つ。シグナルが点灯してマシンは次の瞬間に備える。グリーン点灯! 琢磨君はそこそこのスタートを決めたがアンソニーも琢磨君に負けないくらいのスタートを切った。1コーナーまでそのポジションを変える事無く2台はクリアしていった。オープニングラップはアンソニー、琢磨君の順位で帰ってくる。2位以下は既にかなりの差がついている。そして今回は1LAPを終えた所でいつもよりかなり早めのセーフティカーが出た。ここでいつものようにセーフティーカーがいなくなった所で一気に勝負をかけて前に出ることが出来るか? そしてセーフティカーがいなくなると同時にマシンはそのスピードを上げて1コーナーになだれ込んで行った。そして再びマシンがメインストレートに帰って来るのを見て自分は目を疑った。琢磨君はポジションを上げるどころかその差は広がり、事もあろうか3位を走るGianmaria Bruniにまで追い立てられている。これは絶対に何かがおかしい。琢磨君がこんなに差をつけられるなんてあるはずが無い。しかし周回を重ねるごとに3位のブルーニとの差は広がっていくがアンソニーにはなかなか追いつけない。少しずつその差を縮めるのだけれどもその時点でアンソニーは約2秒ほどの差を広げていた。そしてそのままの順位のままフィニッシュを迎えた。帰ってきたマシンを見るとフロントタイヤにかなりのアブレーションが出ている。これはかなりのアンダーステアが出ていたということや。そればかりか前後のブレーキバランスが昨日とはまったく変わってしまっていた。これは昨日とは違うタイヤの為にセッティングを変更したのが裏目に出てしまったのと、そのタイヤの状態に合わせられなかったという我々のミスであった。本当に悔しい。この大事な時にチームメイトに予選も決勝も彼の後塵をあびるとは。これは屈辱以外の何物でもない。ポイントなどどうでもいい。とにかく勝利する事が重要であって2位だからポイント上では有利になったというのはまったく違う。ただ、ただ悔しい。レースは勝つ為にしているのである。2位で満足など決して出来ない。勝って勝ってその結果ポイントも意味を持ってくるのや。それもチームメイトが勝っての2位など悔しい事の他何も無い。それよりも琢磨君に申し訳ない。もっと思いっきり戦わせてあげたかった。しかしまだ今日のレースは終わったわけではない。もう1レース残っている。そのレースでこそ勝利してそして勝ってチャンピオンを決められるようにマシンを徹底的に見直さなければ! しかし、それ以外ではスカラシップクラスの熱い男、星野一樹が久々の表彰台を3位でGetした。一樹はここ最近マシンと自分のバランスが狂い始めていて毎レース厳しい戦いが続いていた。しかし彼はあきらめる事無く何かを掴もうと常に前向きで必死で考え戦ってきた。それがここで表彰台をGetしたことにより報われ始めている。彼も3位で満足している訳は無い。しかし自分の中で何かを掴み暗闇の中で何か一筋の光を見出したと思う。これが自信になって次からもっともっと成長していくはずだ。まだまだこれから。これからももっともっと悩み考えて成長していって欲しい。

第1レース決勝
POS NO DRIVER NAT TEAM CAR TIME
1 05 Anthony Davidson GBR Carlin Motorsport Dallara F301 Mugen-Honda 27:39.683
2 06 Takuma Sato JPN Carlin Motorsport Dallara F301 Mugen-Honda 27:41.480
3 08 Gianmaria Bruni ITA Fortec Renault Dallara F301 Renault Sodemo 27:48.535
4 21 Mark Taylor GBR Manor Motorsport Dallara F301 Mugen-Honda 27:51.953
5 04 James Courtney AUS Jaguar Racing F3 Dallara F301 Mugen-Honda 27:54.661
6 01 Derek Hayes GBR Manor Motorsport Dallara F301 Mugen-Honda 27:55.128
7 27 Jamie Spence GBR Duma Racing Ltd Dallara F301 Mugen-Honda 27:57.385
8 28 Ryan Dalziel GBR Duma Racing Ltd Dallara F301 Mugen-Honda 27:57.834
9 18 Andy Priaulx GBR Alan Docking Racing Dallara F301 Mugen-Honda 27:59.200
10 14 Matt Davies GBR Team Avanti Dallara F301 Opel Spiess 27:59.830
11 02 Jeffrey Jones USA Manor Motorsport Dallara F301 Mugen-Honda 28:02.069
12 12 Atsushi Katsumata JPN Promatecme UK Dallara F301 Mugen-Honda 28:02.372
13 03 Andre Lotterer GER Jaguar Racing F3 Dallara F301 Mugen-Honda 28:04.710
14 20 Rob Austin GBR Menu Renault Sport Dallara F301 Renault Sodemo 28:08.766
15 07 Alex Gurney ITA Fortec Renault Dallara F301 Renault Sodemo 28:11.818
Fastest Lap Anthony Davidson 1:07.308
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