朝は肌寒いものの、太陽が昇ってくると気温はどんどん上昇してきた。寒いイギリスから来た我々ブリティッシュチームは、マシンの熱対策で、もうてんやわんやの大騒ぎ。今回は2セッション設けられているが、1回目も2回目も20分のセッションと、とても短い。タイム的には今一歩やったけど、今日はセッティングの方向性を見る為のテストやった。このおかげで、マシンとフランス勢がいつも使用しているミシュランタイヤ(我がイギリスではAVONタイヤ)との方向性は見えた。貴重なデータも確保された。明日の予選ではその結果を示す時やね。予選は明日や!
走行中、隣のピットのマシンがどこかでクラッシュして、リアウイングにダメージを追ったが、自力で帰ってきた。懸命に修復作業を行うメカニック達。そこになぜかピットロードの安全を確保する為のマーシャルが3~4人集まってきて、マシンを覗き込んでいろいろ質問や見物、なんとカメラを持ち出して記念写真まで撮りはじめた。もちろん今は予選中や。その為ピットロードをマシンが何台も通過するが、その確認をするマーシャルが居ない状態。そしてまた琢磨君もピットに帰ってきた。セッティングの変更を行い、ピットアウトすると、そのマーシャル達は事もあろうかピットロードの真中に集まって、後ろを見ていないで井戸端会議のような感じで大声で笑っている。琢磨君は急ブレーキととっさのハンドルさばきでこれを避けるが、なんちゅうマーシャルや! 遊びちゃうんやから自分の仕事をしっかり全うして欲しいものや。まったく。基本中の基本や! もっと日本のマーシャルを見習って欲しいものやね。彼ら日本のオフィシャル達は自分が知るかぎりでは最もプロフェッショナルな仕事をしていると感じる。もちろん彼達はそれを仕事としていず、ボランティアとして参加してくれているのやけれども、内容は本当にプロフェッショナル。鈴鹿のF-1がいろいろな意味で評価されるのも分る気がする。
そしてまた、サーキットでは久し振りに見る懐かしい顔に何人か会った。昨年イギリスのチームで働いていたメカニックが、今年は彼らの地元のドイツ、フランスのチームで働いていたのだ。久し振りの再会に笑顔と握手で喜びを分かち合った。
そしてこの走行を終えた後、前回のCroftで交換したかったクラッチやけど、いきなりレースで、あたりのついていないクラッチを使用するのは危険がある為、テストまで温存していたクラッチを使う事になり、ミッションとエンジンを切り離してクラッチのチェックを行った。かなりプレートが減っている為、クラッチがつながる時に滑る傾向にある。念には念を入れてクラッチも決勝の前に新品に交換。本当は今日使用したかったけど、物が今朝届いたばかりなので仕方がない。新品は、まず1番最初の慣らしというか、あたりが問題となってくる。その為に、今日交換して、明日予選終了後にもう一度チェックするという事で、交換する事となった。
いくらなんでも磨り減って、いつトラクションがなくなるかとの心配をするよりも、なるべく早くに交換しておいた方が今後のイギリス選手権のローテーションにも良いしね。今回交換できなかったら、次のロッキンガムではまたまた交換できずに終わってしまう。選手権にも向けてちょうど良い頃合やね。
そして仕事を終えて、市街地のパドックからホテルまでの長い階段を上っていく。パドックはホテルのある所よりもかなり低い所にある。ホテルのある道からは、コースが遥か下を見下ろしている。PAUの暑さにこの階段。体は鍛えておかなあかんね。つくづく実感したわ。
そしてホテルの歩道に設けられたオープンカフェで一息。ハ~、生き返ったわ。靴を脱いで目の前を通る薄着の綺麗なお姉ちゃんを観察しながらのリラックスタイム。つくづく幸せを実感できる時間や。この時間が永遠に続いてくれたら・・・あかんあかん。なんと言ってもFormula-1に行くんやから、こんな所でぐだ~っとしている暇など無い! でもちょっとだけね・・・くつろぎの一時でした・・・

迎えた日曜日の予選。ここPAUは、お祭りの様にこのグランプリが根付いていて、決勝は日曜日ではなく毎年月曜日のレースとなっている。
その予選では、朝から空は雲に覆われていて、昨日にもましてかなり寒さを感じる。太陽が昇れば、と思っていたけど空一面の曇り空。しかし雨の心配は無さそう・・・予報では・・・
今回の予選はodd(奇数)とEven(偶数)の二組に分かれての予選となる。そして最上位のタイムが早かった組がポール組となり、遅かった組が2番目の列の組となる。
まずはodd(奇数)のAnthonyからの走行となる。そしてそのセッションで、Anthonyが初めてのコース、そして初めてのストリートにも関わらず、この時点で暫定ポールを獲得した。しかし、それは昨日の琢磨君のセッティングのコピーからきたセッティングのおかげ。という事はもちろん琢磨君もそれ以上行けるっちゅう事やね。
そしていよいよ真打登場! エンジンに火が入り、マシンはゆっくりとコースインしていく。そしてLAPを重ねP-IN。タイヤをNEWに履き替える。今回のレースはテスト、QF、決勝と3SETのみのレギュレーションとなっている。昨日は1SETのみの使用。そしていよいよ2SET目のタイヤを履いたマシンは再びコースへと出て行く。そしてタイムは・・・モニターの1番上にポーンとSATO Takumaの文字が。ピットで歓声が上がる。しかし、残り7分をきった所でMathieu Zangarelliが1:11.099のタイムを出し、琢磨君はわずか0.031秒差で2番手に落ちてしまった。そしてそのままセッション終了。一回目の予選は悔しいEven(偶数)組の2番手で終わってしまった。しかしこのタイムは総合的に見ても2番手のタイム。予選はまだもう一回残っている。午後になると気温は上がり、タイムアップしずらい状況になるかも知れへんけど、マシンのセットアップで、まだまだタイムアップするはずや。マシンはアンダーステアが強くて、とても満足できる仕上がりではなかった。そこをもう一度データを読み直して、ドライバーのコメントと照らし合わせて、午後はより確実なマシンコンディションに仕上げて、タイムアップして、ポールを獲得するしかないっしょう! 午後は行ったるで~!

第1予選Aグループ
POS NO DRIVER NAT CAR TIME GAP
1 01 Anthony Davidson GBR Dallara F301 Mugen-Honda 1:11.170  
2 07 Ryo Fukuda JPN Dallara F399 Renault Sodemo 1:11.192 0.022
3 19 Frank Diefenbacher DEU Dallara F301 Opel Spiess 1:11.414 0.244
4 11 Bjorn Wirdheim SWE Dallara F301 Opel Spiess 1:11.623 0.453
5 05 Tristan Gommendy FRA Dallara F399 Renault Sodemo 1:11.770 0.600


第1予選Bグループ
POS NO DRIVER NAT CAR TIME GAP
1 04 Mathieu Zangarelli FRA Dallara F399 Renault Sodemo 1:11.099  
2 02 Takuma Sato JPN Dallara F301 Mugen-Honda 1:11.130 0.031
3 10 Kousuke Matsuura JPN Dallara F301 Opel Spiess 1:11.332 0.233
4 06 Tiago Monteiro POR Dallara F399 Renault Sodemo 1:11.548 0.449
5 64 Lucas Lasserre FRA Dallara F300 Mugen-Honda 1:11.825 0.726
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