金曜日、今日は走行も無い為、少しはリラックスしたサーキットだ。
しかし、何故今日は走行が無いのやろうか? ひょっとして13日の金曜日やからか? キリスト教の国やし。って、ちゃうやろ、ツーリングカーは走ってるって!

いつものようにホテルからJohnと二人でサーキットに向かう。
サーキットのすぐとなりを道路が走っていて、サーキットを走っているマシンが道路を走る車の中からすぐそこに見える。
マシンがもしここで大きくコースアウトしたら一般道路に飛び出す可能性がかなりある。
道路とサーキットをさえぎる物は何も無い。
そう、昨年のマカオGPの様に。そしてまた道路を走る車がレース等を見てしまい、追突事故の原因にならないとも限らない。かなり危険なように見える。もっとしっかり安全管理に気を使って欲しく思う。
ここのコース脇にはガードレール等設置して、尚且つ道路を走る車がわき見運転しないように、マシンやコースが見えないようにして欲しく思う。
と、 Snetterton嫌いのJohnと自分はそんな事を話しながらサーキットに向かって行った。

サーキットでは一通りマシンの整備も終らせ、ピットのセットアップも終了間近。
我々メカニックはそれぞれのマシンを車検場に持っていき、重量、各部の寸法の確認へ向かう。
もうウエイトゲージの使い方も分かったし、なんの心配も要らない。
チェック完了! 今日は早めにホテルに戻って明日に備えてリラックスしなければ。

土曜日予選。今日は朝から少しナーバスになっているのが自分でもわかる。
もっと落ち着かなくては。
今日は昨日とはうってかわって、寒いは雨はぱらつくはで、いや~なコンディション。
スタート前に雨足は強くなってきた。しかし、コースはまだドライ。ピットではマシンのセットアップ変更で慌しくなった。もう、この天気。ハッキリして欲しいわ。いややねん。直前にドタバタとするの。
しかし、しゃーないね。天気に文句言ってもはじまらへん。他のメカニックとの違いをこういう所で見せつけてやるで! 

路面はドライコンディションだが、空からは雨が降っている、この滑りやすいコンディションの為、予選開始後はまさに戦場のように大荒れとなっていた。そしてまたピットでもセッティング変更で同じ模様やったけどね。こうなったらコースインの早い者勝ちか? コースインして、まずは周りの状況やコースコンディションを確認しながらタイムを重ねる。
わずか63秒のサーキットに36台が溢れ返り、クリアラップを取るのは本当に至難の業。
しかし、条件はみんな一緒。クリアラップを取る。それも技術でありレースである。

数ラップしてタイムは1分5秒8でポジションはP-1。しかし、ここで赤旗が出て中断。
ピットで待機。赤旗が解除されるが、我々はコース場が落ち着くのをまってからのコースイン。
慌てて行ってもしゃーないって。しかし、コースインと同時にコースコンディションはぐっと良くなり、この時点でポジションはP-1からいっきにP-10まで落ちてしまう。
この競争の激しさこそBritish Formula-3なんやね~、これが。そうこなくっちゃおもろ無い。
こっちもいっちょ格の違いって物を見せつけたりましょうか! まだまだ行くで~。
当然琢磨君もポジションをアップして行く。

予選中も雨が降ったり止んだりで、順位はまさに猫の目の様に(どんなんや)目まぐるしく変わる。
その中で琢磨君は当然のようにトップタイムを叩き出す。
それと時を同じくして、また本日2回目の赤旗中断。ピットに戻ってくる。
この時点で雨は上がり、そしてまたコースコンディションもドライ。その為、この赤旗を利用してマシンのセットアップをドライセットに戻す。これでタイムアップは確実やね! さ~、行くで~! 残り時間は7分を切っている。最後の追いこみや! 

ここでもまた毎LAP順位は入れ替わる。琢磨君は3番手までドロップする。
そしてコースの状況をクレバーに確認して、邪魔なマシンから離れ、クリアラップのタイミングを計る。
そして、その状況は来た! 最後のタイムアタック! スーパーラップに入る。
データ上では今までの最高のタイムを刻んでいる。よっしゃー! ポール決定や! ・・・と、思っていたら、ななななんとトラクションがかからなくなる。トラクション“0”走行不可能。万事休す。
データ上では、明らかに壊れるまでのタイムは0.1秒速かったのに、大事な所でのメカニカルトラブル。
なんでこんな大事な所で・・・本当に琢磨君には申し訳ない気持ちで一杯や。
予選4番手。確かにポジションを考えたら、琢磨君のスタートで勝ちは狙えるポジションにいる。
しかし、そんな事は関係無い。予選もひとつのレースだ。そして、その予選こそ速さを見せつける大切なレースや。そしてまた、その予選こそ琢磨君がもっとも得意としている速さの指定席なのに。
しかし、落ち込んでいる暇は無い。すぐに次の予選が控えている。
予選終了後にマシンがトラックに乗せられて帰ってくる。
まずはドライバーから壊れた様子のフィーリングを聞く。そしてマシンをチェックしながら車検場まで押して行く。
ギア割れ? いや、1th~5thまで全てのギアで駆動が伝わらない。デフか? いや、左右のタイヤのまわっている感触と回転差の感触は大丈夫だ。ドライブシャフトはちゃんとつながってるし、それならクラッチか? いや、スタート練習もしていないし、壊れる前にクラッチが滑った形跡も無い。
ドライブシャフトはちゃんとつながってるし、それならメンドラ? あと考えられるのはクラウン・ピニオンギアか? 

車両保管中我々は最悪の事態を考え、ミッションを切り離し、同時にデフのサイドケースを開けてクラウン・ピニオン同時にチェックする事に決定した。
車両保管解除と共に仕事を始められる様にハイスタンド、エアジャッキ、そして工具の準備をする。

車両保管解除と共に自分とJohnとBoyoで分担しながら仕事をスタートする。
まずはハイスタンドにマシンを上げて、何は無くともフロアを外す。ここでもまた、前回大活躍したインパクトドライバーの恩恵にあずかる事になってしまった。

自分はミッションとエンジンを切り離しにかかる。Johnはデフのサイドケースを開け始める。
Boyoはミッションを開ける。
そこに邪魔しにサイモン登場! 手伝ってくれるのはいいのやけど・・・気持ちだけで充分やから・・・お願い・・・

エンジンオイルを抜いて水を抜く。ブレーキ、クラッチラインを切り離しスターターモーターを外す。
配線を切り離してボルト、ナットを外して行く。
まずは自分が1番早くミッションを切り離す。メンドラのチェックと、ついでにクラッチとベアリングのチェック。
大丈夫。問題無し。すぐにミッションを取り付けにかかる。
ボルトを締め、水、オイルを入れてブレーキ、クラッチのエア抜きの準備を終らせる。
同時に左側のサスペンションを取り外しながらサイドケースを開ける。
デフを外すとそこには・・・ものの見事にずるりと一周ギアが無くなったピニオンが姿をあらわした。

すぐさまピニオン交換に入る。バーナーでミッションケースをあぶりピニオンを外す。
シムを計算して新しいピニオンを挿入! しかし、少しバックラッシュが多い。ハイトはOKだ。
2回目の予選までの時間を計算するともう1回トライできる。
膳は急げでもう一度バーナーであぶり直して、もう一度外してシムの誤差を計算し直し、デフを入れ直し、バックラッシュのチェック! まだ少し多い。何で? などと考えている暇は無い。インターバルの時間は無い。
一応許容範囲なので、サスペンションを取り付け始めると同時にギアレシオを組みつけて行き、オイルを入れてエンジンスタート。暖機を終らせ、フロアを取り付ける。
そこで他のピットからマシンがピットロードに出て行き、ピットロード出口でコースオープンを待ち始める。
今回もやっとぎりぎり間に合った。前回に続き・・・

第1レース予選
POS NO DRIVER NAT TEAM CAR TIME
1 14 Matt Davies GBR Team Avanti Dallara F301 Opel Spiess 1:02.247
2 01 Derek Hayes GBR Manor Motorsport Dallara F301 Mugen-Honda 1:02.281
3 09 Nicolas Kiesa DEN RC Motorsport Dallara F301 Opel Spiess 1:02.293
4 06 Takuma Sato JPN Carlin Motorsport Dallara F301 Mugen-Honda 1:02.340
5 08 Gianmaria Bruni ITA Fortec Renault Dallara F301 Renault Sodemo 1:02.384
6 03 Andre Lotterer GER Jaguar Racing F3 Dallara F301 Mugen-Honda 1:02.536
7 10 Ryan Dalziel GBR RC Motorsport Dallara F301 Opel Spiess 1:02.667
8 04 James Courtney AUS Jaguar Racing F3 Dallara F301 Mugen-Honda 1:02.696
9 05 Anthony Davidson GBR Carlin Motorsport Dallara F301 Mugen-Honda 1:02.734
10 17 Paul Edwards USA Alan Docking Racing Dallara F301 Mugen-Honda 1:02.750
11 21 Mark Taylor GBR Manor Motorsport Dallara F301 Mugen-Honda 1:02.841
12 18 Andy Priaulx GBR Alan Docking Racing Dallara F301 Mugen-Honda 1:02.953
13 11 Bruce Jouanny FRA Promatecme UK Dallara F301 Mugen-Honda 1:02.968
14 15 Milos Pavlovic YUG Team Avanti Dallara F301 Opel Spiess 1:03.047
15 02 Jeffrey Jones USA Manor Motorsport Dallara F301 Mugen-Honda 1:03.122
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