いよいよ迎えた決勝日。今日も快晴! それに気温も暖かい。今週末は本当に天候に恵まれた。本当にここはイギリスか?と思えるくらいの快晴の日々だ。そんな中での決勝レース。本当に待ち遠しくなってしまう。

昨日のおにぎりタイヤからテストで使用したタイヤにチェンジしてオフィシャルのマーキングをもらい、朝の仕事も一段落ついたとき、ポケットの中の携帯が鳴った。
見ると琢磨君からの電話や。なんやろ?と思い、出ると何とサーキットの周りが渋滞していて身動きが取れないので迎えに来て欲しいとの事。しかし、どうやって? そうや! バイクや! 急げ! しかし、我がカーリンモータースポーツにはそういった類の物は持ち合わしていない。どないしよう・・・ちょっと待てよ。そうや、ダイヤモンドがたしかスクーターを持っているはず。急いでダイヤモンドレーシングのヒューイの所に行き、事情を説明すると「急げ!」とすぐに貸してくれた。さすがヒューイ。頼りになりまっせ。困った時のヒューイ頼みってか? そのスクーターで走る走る。ヘルメットは要らないのか? 日本やあかんけどイギリスは? などと考えている暇はない。そのままサーキットの外へ走り出てゲートを右折してちょっと走って鋭角に左折。そして木々がトンネルになっている木漏れ日の綺麗な小道をのどかに・・・違う懸命に琢磨君を探して走る走る。しばらく走ると前方でのんきに手を振る琢磨君を発見。そのまま無事捕獲に成功した。その後ろには車の中に一樹が。二人とも車を友人に預けてスクーターにノーヘル3人乗り。そしてスクーターは一路サーキットへ。しかし、走行車線は渋滞の車で一杯な為、ノーヘル3人乗りのスクーターは反対車線をぶっ飛ばす。
対向車が来るたびにクラクションとパッシングの雨あられ。それでも相手が避けない時は仕方が無いので自分たちがよろよろと走行車線に割り込みしてまた反対車線へ。
おまけにこのスクーター、ミクスチャーが悪いのか排気からもうもうと煙を撒き散らしながらの走行。なんか本当漫画みたいな嘘みたいなカッコで我が道を行くスクーター。煙を浴びている車の中の人が本当煙たそうにしていた。
しかし、そんな事よりもおいらの脳裏にはもしここでこけたらこの二人は今日のレースには出場出来ないのか? そいつはまずいがな・・・と思いながらもアクセルは緩めず反対車線を爆走するのみ。将来のF-1ドライバーを後ろに乗せての無茶な走行。ゲートもパス。ぶっちぎってパドックに到着。今度は人の波を避けながらのジグザグ走行。ノーヘル3人乗りで。そして何とか無事にガレージに到着。フ~ッ。良かった。
無事で。
何とかぎりぎり時間には間に合ったようだ。二人はスーツに着替えてピットウォークのサインのサービスへと向かっていった。
なんかこんな話物語にでも出てきそうな話やね。途中琢磨君が「飯田さん。昔を思い出したでしょう?」とか何とか訳の分からん事をほざいていたけど自分には何のことやらさっぱり分からん。とにかく無事で何より。朝からこんなにどたばたしたような日は、何か良いことが有りそうな気がする。レースは行けるか?

朝からあわただしい時間がすぎて、いよいよコースインの時間がやって来た。各マシンはコースへと出て行く。しかし、うちの琢磨君の姿はまだ見えない。トレバーが来て「タクマはどうした。もう時間が無いぞ。どうする。」と、自分の所に言いに来たけれどもそんなん知らんがな。あんたがそれを把握してなあかんやろ。と、思い「Idon't know.」と答える。すると心配そうにガレージの奥へと消えていく。それと時を同じくして琢磨君登場! 琢磨君はいつものようにのんきに「飯田さん。ピットクローズド後何分?」しかし、時間はもう無いのであった。急いでマシンに乗り込む琢磨君。あわただしくベルトを締めてあわただしくエンジンスタート。急いでピットを後にしたのであった。
ふ~。まったくもう焦らせんといて。
当然グリッドではすでにみんな各車それぞれのグリッドに待機している。琢磨君はポールポジションなので後ろから今朝のスクーターのようにそのマシン、及び人の波をよけながら先頭のグリッドに着いた。
やっとこの場所に帰ってきた。ここが琢磨君の指定席。この場所が一番似合うのはやはり琢磨君やね。やっぱりここから見る景色は格別である。クリアな視界。邪魔な物は何一つ無いこの景色。心が落ち着く一瞬だ。

しかし、今日のこのグリッド。少し様子が変である。普通ポールと2番は少しずれて2番が後ろに、そしてまた3番と4番も後ろにずれてのグリッドなのに今回は横一列のグリッドなのだ。つまり1番と2番は前後にずれていなくて横に並んでその後ろにはこれまた3番と4番が少し横にずれてこれまた同じ列に並んでいる。これだとなんかポールポジションの有利さが無くなってしまい、ちょっと損した気分やね。やっぱりポールは横にも誰もいないのが気分良いでしょう! しかし、ま、スタートから飛び出してしまうから良いけどね。
フォーメーションを終わらせてマシンは各グリッドに整列した。最後尾でグリーンフラッグが振られていよいよスタートの時を向かえる。5秒前の表示が出されて各車エキゾーストノイズが一段と高まる。レッドシグナル点灯。そしてグリーンライトが点灯! 琢磨君は抜群のダッシュを決めて先頭で1コーナーへと消えていった。後ろの集団ではアクシデントが発生して、このところお約束になっているセーフティーカーがコースに入った。先頭で帰ってきたのは当然琢磨君。そして2番手にはアンソニーがつきオープニングラップはカーリンの1-2となった。スカラシップクラスの一樹はスタートで大きく出遅れたが、タイム的には前にいるマシンよりも確実に速い。巻き返しに期待しよう。
レースは2周ペースカーが先導した後、1コーナーのアクシデント車両の回収の為、赤旗が提示されて一時中断となった。
スターティンググリッドに戻ってきたマシンのもとに行き各部のチェックとタイヤの掃除を行う。琢磨君から水温が少し高いとのコメントがありラヂエターダクトのタンクテープを一枚剥す。これでばっちりや。このシチュエーション、昨年の初優勝のSilverstoneの時と一緒や。いけるで、今日は!
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