そしてタイヤの小石を取ったりしながらタイヤのチェックをしていると、左後ろのタイヤに本当に小さな傷のような物が目に入ってきた。あれ? と思いその部分を入念にチェックする。1コーナーでアクシデントがありコースにいくつかの破片が出ていた可能性があった為、タイヤをちょっと神経質なくらいチェックしていて見つけた物だ。
この傷は他の連中がチェックした後に見落としていて、おいらが見つけた物やかんね。
それだけしっかり細かい所まで見て確認してるっちゅー事やね。おいらだよおいら見つけたの。誉めて誉めて。って、誰もそんなことせえへんか。いや、ちょっと最近壊れ気味な物で・・・しかし、その傷はかなり小さい物の、奥は深そうな感じだ。唾をその部分につけてエア漏れがあるかどうか確認した所、ほんの少しプクッ、プクッっと泡が出てきた。しかし発熱したタイヤのラバーにエアが含まれている可能性もある。発熱している時のこのようなケースは難しい。タイヤのプレッシャーはまだ確認できるほど落ちてはいない。しかし、この傷が充分奥深くまで達している可能性もありうる。いや、この感じから見てその可能性は充分考えられる。このシチュエーションでは冒険は厳禁だ。レースがスタートしてスローパンクチャーになる事が目に見えている。我々は第2レースで使用する予定の左後ろのタイヤだけ交換することになった。
しかし問題はその後だ。タイヤの磨耗状態は良い物の、一本だけ冷えたタイヤ。当然タイヤプレッシャーも上がっていない。これはマシンの操縦安定性に著しく影響することや。それにこのコースでは左後ろは最も重要なタイヤでもある。もちろんスタート時でも、トラクションがかかる後ろ側で左右のタイヤ温度が違えば、スタートに悪影響が出てしまう。当然冷えているタイヤの方に充分なグリップが得られない。トラクションはそっちに逃げてしまう。しかし、他の方法は無い。交換する以外手は無いのだ。
後はフォーメーションでどれだけタイヤを均等に暖められるか。それは琢磨君の手にゆだねられた。頑張ってくれ!

そしてフォーメーションラップでは、いつもよりもマシンを激しく左右にウェービングして、タイヤの内圧を上げる琢磨君。しかし猶予は1LAPしかできない。どこまで左右均等に合わせられるか。がんばれ、タイヤ君! 君の頑張りに期待してるぞ! そしてマシンは赤旗1LAP前の順位で整列しなおして2回目のスタートに備える。スタートでは左右のタイヤ温度が違う為か、いつもよりも多めにホイールスピンをしたように見えたが、無事にスタートして、まずはトップで1コーナーへと消えていった。
オープニングラップでは2位にブルーニを従えて帰ってきた。アンソニーは順位を1つ落として3番手だ。
一樹は・・・がんばれ一樹! そしてレースはLAPを重ねるごとにその差は開いていき、2位以下の集団は遥か後方での走行や。楽勝? いや、レースは終わってみるまで何が起こるか分からない。油断は禁物や! とは言ってももう後は見守るしか自分達にはできないんやけれどもね。この終わるまでの時間の長い事長い事。早く時間が過ぎて欲しいと真剣に思ったがな。この待っている間の長い事。時間の過ぎるのが遅いこと。ホンマ胃が痛くなり、また頭痛がしてきたっちゅーの。そして時間は残り1分を切った。最終LAPや! 最終コーナーからその姿を現したマシンは紛れも無くカーナンバー6の琢磨号や! やったー! 勝利だ! 勝った勝った! ポールからの堂々のポールtoフィニッシュや! もう感激感激。嬉しいの何のってホンマこの感じは言葉では言い表せない感激やね! おまけにファーステットラップも取ったし、誰にも文句を言わせない完全勝利や! チームメイトのアンソニーは3番手、そして一樹はスカラシップクラスで堂々の2番を取っただけでなく、スカラシップクラスでのファーステットラップも取った。おめでとう一樹。良かった良かった。

マシンはゆっくりとウイニングランをして、優勝インタビューのある場所へと帰ってきてマシンを止めた。マシンから降りてインタビューに答える琢磨君。我々はマシンを押して車検場へとマシンの移動。最車検を受けてすべてOK! やった! これで全て大丈夫。この再車検が終わるまでは結構プレッシャーがあって、心配の種やけど、これが終わり本当にホッとした。その時2位のブルーニが「Congratulations!」と言って握手しに来てくれた。こいつホンマはちょっとだけ良い奴かも? しかし、第一レースに勝ったからといって浮かれてばかりにはいられない。この後すぐに第2レースが控えている。この浮かれた気持ちを引き締めて、気持ちを新たにしてマシンのチェックと整備をして次に控えなければ。この気持ちの引き締めができるかどうかが重要なのである。すでに次のレースは始まっているのである。終わった事は置いておいて次を頑張らなければ!

第1レース決勝
POS NO DRIVER NAT TEAM CAR TIME
1 06 Takuma Sato JPN Carlin Motorsport Dallara F301 Mugen-Honda 18:18.690
2 08 Gianmaria Bruni ITA Fortec Renault Dallara F301 Renault Sodemo 18:21.079
3 05 Anthony Davidson GBR Carlin Motorsport Dallara F301 Mugen-Honda 18:21.494
4 14 Matt Davies GBR Team Avanti Dallara F301 Opel Spiess 18:22.566
5 11 Bruce Jouanny FRA Promatecme UK Dallara F301 Mugen-Honda 18:24.344
6 18 Andy Priaulx GBR Alan Docking Racing Dallara F301 Mugen-Honda 18:26.361
7 04 James Courtney AUS Jaguar Racing F3 Dallara F301 Mugen-Honda 18:26.942
8 01 Derek Hayes GBR Manor Motorsport Dallara F301 Mugen-Honda 18:27.188
9 21 Mark Taylor GBR Manor Motorsport Dallara F301 Mugen-Honda 18:28.121
10 15 Milos Pavlovic YUG Team Avanti Dallara F301 Opel Spiess 18:29.217
11 27 Jamie Spence GBR Duma Racing Ltd Dallara F301 Mugen-Honda 18:29.862
12 10 Ryan Dalziel GBR RC Motorsport Dallara F301 Opel Spiess 18:30.498
13 09 Nicolas Kiesa DEN RC Motorsport Dallara F301 Opel Spiess 18:35.180
14 07 Alex Gurney ITA Fortec Renault Dallara F301 Renault Sodemo 18:38.123
15 20 Rob Austin GBR Menu Renault Sport Dallara F301 Renault Sodemo 18:44.950
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