いよいよ決勝の朝がやってきた。今日も朝から快晴気温も上昇。しかし今回は本当に毎日天気がいい。なんかイギリスではないような気分にさせられる。
でも、雨の心配をしないでレースを出来るって、幸せな気分にさせられるね。心配する事が一つ減って、天気同様気分も晴れ晴れした気分やね。なんか得した気分や。
でも最近イギリスはイギリスらしくなく、暑くて暑くて大変や。しかし、日本の暑さに比べたら全然暑くないのやろね。そして寂しいことに夏の風物詩ともいえる蝉も鳴かないし。と言うよりも、蝉そのものがいない。もっと悲しむべき事はカブト虫、クワガタムシもいない。これはさみしい。自分結構カブトやクワガタって好きなのに。むかし御殿場で夜仕事をしていると、カブト虫やクワガタムシがワークショップの電気に誘われて飛び込んできたっけ。それをよく売りに行って・・・いや、話を戻そう。しかし、イギリスのこのくらいの暑さで暑い暑い言っていたら、日本の暑さに耐えられない体になってしまったという事なのやろうか? ま、鍛え方が足りないという事なんやろうね。京都の夏は暑かった。それを思えば・・・でも今はやっぱり暑い。加茂川の先斗町の川床を思い出すな~。行った事無いけど。来週はテムズ川で川床か? ぜってーしない!

そして朝ホテルからサーキットまで向かう途中、渋滞が凄い。それを見ながら、またOultonPark の時に琢磨君を迎えに、原チャリで琢磨君と一樹とおいらの3人で、3ケツで反対車線ブッちぎったあの事が思い出されてきた。ひょっとして今日もあれやるのか? ちょっとブルーがはいっていしまった。結構プレッシャーかかるんやよあれが。しかしその心配は無事に解決。すぐに琢磨君ご一行様は現れた。よかったよかった。

オーニングに到着すると、すでにアンソニーとアンソニーの彼女が到着していた。そのアンソニーの彼女を見て相棒のJohnが一言。「アンソニーのガールフレンドは多分ズボンを1つしか持っていないぜ。なぜならばいつもあの青いズボンしか履いていないから。」とおっしゃられた。しっかしよく見てるな~。そんなんまったく気付かんかった。多分彼女も気付いておらんやろ。さすがJohn。女の事は良く見てる。感心させられてしまいまっせ。
マシンをオーニングからピットロードまで押して、いよいよ琢磨君がマシンに乗り込むのを待つ。そしてコースを一周してダミーグリッドにマシンを付ける。やっとここに帰ってきた。本当に嬉しい。この場所に帰ってくると、まさに自分の家に帰って来たような不思議な安堵感がある。他のグリッドでは味わえない何とも言えないホッとした感じ、優しく包まれたようなリラックスした気分にさせられる。不思議やね~。
そしてそこで琢磨君を迎えてマシンの最後のチェックを行い、1分前の表示と共にエンジンに火を入れ、琢磨君とガッチリ握手してコースを後にする。ピットロードの端でスタートを見守る。グリーンフラッグと共にマシンはフォーメーションへと旅立ち、マシンを激しくウェービングさせながら、タイヤを暖めながらコースを一周して、いよいよ自分のグリッドに到着した。そしていよいよスタートの時は来た。各車一斉に回転を上げて、シグナルと同時にマシンは解き放たれた。素晴らしいスタートを決めて琢磨君はトップで1コーナーをクリアしていった。すでにその差は開いている。1位と2位の差はかなり開いていて、2位以下は団子状態のままコースを進んでいくのが目に見えた。そしてマシンは視界から消えて行き、自分はサインボードの用意を行う。
そして最終コーナーの方向からマシンのノイズが聞こえてくる。最終コーナーに目を向けて、自分は琢磨君がトップで立ち上がってくるのを待ち構えていた。そしてそこで目にした物は信じられないような光景やった。なんとアンソニーが琢磨君をパッシングするシーンが、残酷にも自分の視界の中で起こった。一瞬我が目を疑った。信じられない。琢磨君が抜かれるなんて。信じられない。琢磨君が抜かれるなんて、初めての事ではないだろうか。しかしその抜かれ方、そしてその後のスピードの落ち方からして、何かトラブルがでた可能性しか考えられない。しかも後ろからはDerek Hayesも迫ってくる。
サインボードにはいつもはプラス表示しか出さないのに、今日初めてマイナスを表示した。しかし、その差はどんどん開いていく。明らかにおかしい。1周約1秒単位で遅れていく。そして琢磨君の後ろではDerek HayesとJames Courtneyがバトルを行っている。自分はサインボードの表示をマイナスからプラス表示へと切り替えた。とは言ってもトップとの差では無く、琢磨君の後続とのプラス表示だ。しかもその差はどんどん縮まってくる。あれよあれよという間にDerek Hayesを抜き去ったJames Courtneyが、琢磨君のすぐ後ろにピタリとマシンを近付けていた。しかし琢磨君はフケ無いエンジンでもコーナーの侵入で思いっきりブレーキを遅らせ、その順位を死守している。見ていて胸が締め付けられる思いだ。こんなに頑張っているのにエンジンは言う事を聞いてくれない。
しかしレースも10分を終えた頃から琢磨君のペースが一気に上がった。なんとエンジンのフィーリングが戻ったのだ。マシンは再び速さを取り戻してその差を広げていく。それからの琢磨君はまさに鬼神走りでファーステットラップを更新しながら後続との差を広げ、またアンソニーとの差を縮めていく。自分もトップからのマイナス表示をサインボードに提示する事にした。最終的にはなんとレースでのファーステットラップまでも叩き出した。
一時はアンソニーに7秒以上離されていた差を最後は2秒差まで追い詰めた。しかし全ては遅かった。レースは20分ととても短い。アンソニーに追いつく時間の猶予は残されていなかった。最終的には2位でチェッカードフラッグを受ける事になってしまった。これほど悔しく悲しい事は無い。

第1レース決勝
POS NO DRIVER NAT TEAM CAR TIME
1 05 Anthony Davidson GBR Carlin Motorsport Dallara F301 Mugen-Honda 20:22.690
2 06 Takuma Sato JPN Carlin Motorsport Dallara F301 Mugen-Honda 20:24.555
3 04 James Courtney AUS Jaguar Racing F3 Dallara F301 Mugen-Honda 20:30.314
4 01 Derek Hayes GBR Manor Motorsport Dallara F301 Mugen-Honda 20:33.674
5 11 Bruce Jouanny FRA Promatecme UK Dallara F301 Mugen-Honda 20:34.623
6 03 Andre Lotterer GER Jaguar Racing F3 Dallara F301 Mugen-Honda 20:34.909
7 28 Ryan Dalziel GBR Duma Racing Ltd Dallara F301 Mugen-Honda 20:35.626
8 08 Gianmaria Bruni ITA Fortec Renault Dallara F301 Renault Sodemo 20:36.103
9 14 Matt Davies GBR Team Avanti Dallara F301 Opel Spiess 20:38.181
10 27 Jamie Spence GBR Duma Racing Ltd Dallara F301 Mugen-Honda 20:38.944
11 18 Andy Priaulx GBR Alan Docking Racing Dallara F301 Mugen-Honda 20:44.271
12 02 Jeffrey Jones USA Manor Motorsport Dallara F301 Mugen-Honda 20:45.052
13 17 Paul Edwards USA Alan Docking Racing Dallara F301 Mugen-Honda 20:49.048
14 20 Rob Austin GBR Menu Renault Sport Dallara F301 Renault Sodemo 20:49.571
15 52 Robbie Kerr GBR Fred Goddard Racing Dallara F398 Renault Sodemo 20:54.157
Fastest Lap Takuma Sato 1:00.040
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