インターバルでは、残念な事に原因の究明は出来なかった。エンジンマネージメントのデータからは異常が発見されなかった。そんなアホな事あるかい! 絶対原因があるから結果があるのであって、絶対何かおかしい。しかし、現段階ではそれは分らなかったという事が事実である。そんな事はありえないとかそんな事はおいて置いて。とりあえず用意してある交換可能なものは交換するという事で、後は神頼みの状態。そんな事は断じてあってはならない事である。メカニックとしたらそんな神頼みなんて絶対にしてはいけない。全ては自分達が管理して自分達のコントロール下にマシンを置いておかなければならない。神頼みだぁ? マシンに関しては自分が守る立場であって、俺が神そのものである! しかし現実は・・・しかし、データを見ていない自分が勝手に判断して、あーだこーだ騒ぎ立てるのも危険である。彼らもちゃんとデータにのっとってチェックして、仕事を進めての判断である。ジレンマが激しく襲って来る。何とかしなければ! しかし時間は刻一刻と迫ってくる。とにかく自分に出来る限りのチェックを行い、それと平行してセッティングの変更、各部のチェック等ルーティンワークをこなす。そしてハーネス、センサー等の細部に気をつけ、異常が無いかどうか確認する。些細な事も確実に見逃さずにチェックする。そして時間は来た。

とにかく自分で出来る事は全て行った。大丈夫。原因の1番大きな原因はECUの可能性が限りなく100%に近い。全てのエンジンマネージメントはECUで処理されるのやから。それに他がダメージを負っていたらパワーダウンではなくミスファイヤ、バラつくはずだ。他の原因でミスファイヤがもとに戻る事もある。しかし、それは全てミスファイヤをおこすのである。今回は明らかに何らかのセンサーのトラブルと言うよりも、それを処理するECUの何らかのセーフティーモードの問題が大きいと判断できる。それに各プログラムも変更した。きっと大丈夫! 他のセンサーを闇雲に変えるのは違う問題を引き起こす可能性もあるので、これがベストな処置や! 絶対! Absolute! Certainly! Definitely! Probably・・・Maybe・・・トーンダウンしてどうする・・・とにかく大丈夫!
ちょっとだけ不安な気持ちを心に押さえ込み、表面上は自信たっぷりにEverything all right! って感じで!
そして今度は2列目4番手のグリッドに向かっていった。目前には3台マシンが止まっている。本当に悔しい。すぐにあの場所に帰って来てやる!
いつものように、いつも通りコースから我々は退去していく。ちょっと悲しい瞬間だ。後はすべて琢磨君に任した。手塩にかけて育てた愛娘のダラーラをよろしく!! あれ? 今気付いたけど、昔はマシンが彼女みたいに感じていたのに、いつから彼女ではなく娘になってしまったのだろうか? 今気が付いた。う~ん。不可解や・・・
そんな関係の無い話は置いておいて、いよいよ第2レースのスタートの瞬間がやってきた。マシンはグリッドにゆっくり止まり、シグナルが変わる瞬間を待っている。そしてスタート! 今回も琢磨君は完璧なスタートを決めた。しかし前方ではトップのアンソニーと2位のスペンスが並んで1コーナーに進入していった。鋭いスタートを決めた琢磨君だったが、その勢いをその壁に阻まれてしまった。この狭いコースでは、この2台をパスする事はコースアウトする事を意味している。そのままほとんど並んだ状態のまま、マシンはその姿をコーナーに消していった。そして約1分後再びマシンはその姿を今度は最終コーナーから姿を現した。トップはアンソニー。そして少し差を開けて2位にスペンス、すぐ後ろに琢磨君の順位でオープニングラップを帰ってきた。
琢磨君は2位のスペンスに抑えられてしまっている。その間にトップのアンソニーは逃げていき、その差を広げていく。前を行くスペンスさえかわしてしまえば、アンソニーにすぐに追いつくのに、なかなかスペンスも隙を見せない。彼もなかなかアグレッシブなドライバーやし、琢磨君もかなりてこずっているようや。サインボード上のアンソニーとのタイム差を表すマイナス表示も周回ごとに広がっていく。そして4LAP目にアクシデントによりセーフティーカーが導入された。ペースカーは2LAPにわたってF-3を引っ張っていた。そして6LAP目に再スタートが切られた。そして満を持しての8LAP目の1コーナーのブレ-キング勝負で、ついに邪魔者を抜き去り、後はアンソニーを追撃するばかり。しかしこの時点でその差はすでに3秒以上開いていた。しかしタイム差は確実に減っていく。そしてこの時、残り時間8分の時にオフィシャルが来て、ペースカーの分、あと残りいきなり14分にするとの通達があった。何~、あわててサインボードの残り時間の8分を14分に入れ替える。しかしこんな事って何の為のタイムレースなのだろうか。まったく意味が無い。それどころか、それではきっちりガソリンを計算して入れている意味が無いではないか。普通なら足りなくなってしまう。確かにペースカーに引っ張られている時はかなりゆっくりな為、それ程ガソリンの消費はしていないけれども、それでも消費している事には変わりは無い。その上、周回数が増えるなんて。普通なら絶対ガス欠になってしまうはずやけど・・・なんでみんな止まらずにレースを走りきれるの? それがおいらとっても不思議なんですけれども・・・何故? 確かにレース終了後に、無差別に数台のマシンから3リットルガソリンを検査の為抜くので、各チーム必ず3リットル多めに入れているけれども・・・絶対おかしい。その疑問は棚上げにして、琢磨君はスペンスを抜いてから一気にペースが上がった。かなり抑えられていたって事やね。このサーキットは抜き所が無い為、前のマシンのペースがかなり遅くてもなかなか抜けずに、自分のペースで走る事が出来ずにタイムを落としてしまう。それが今クリアになったため琢磨君の猛追撃が始まった。しかしジリジリとその差を詰めては行くものの、最初に築かれてしまった3秒以上の差を縮める事は出来ずに、そのままレースを終える事になってしまった。トップはチームメイトのアンソニー。2連勝である。そして琢磨君は2位に留まってしまった。

第2レース決勝
POS NO DRIVER NAT TEAM CAR TIME
1 05 Anthony Davidson GBR Carlin Motorsport Dallara F301 Mugen-Honda 25:19.128
2 06 Takuma Sato JPN Carlin Motorsport Dallara F301 Mugen-Honda 25:21.623
3 04 James Courtney AUS Jaguar Racing F3 Dallara F301 Mugen-Honda 25:27.192
4 27 Jamie Spence GBR Duma Racing Ltd Dallara F301 Mugen-Honda 25:32.390
5 01 Derek Hayes GBR Manor Motorsport Dallara F301 Mugen-Honda 25:33.611
6 03 Andre Lotterer GER Jaguar Racing F3 Dallara F301 Mugen-Honda 25:34.184
7 28 Ryan Dalziel GBR Duma Racing Ltd Dallara F301 Mugen-Honda 25:36.368
8 21 Mark Taylor GBR Manor Motorsport Dallara F301 Mugen-Honda 25:38.398
9 14 Matt Davies GBR Team Avanti Dallara F301 Opel Spiess 25:40.323
10 11 Bruce Jouanny FRA Promatecme UK Dallara F301 Mugen-Honda 25:41.016
11 08 Gianmaria Bruni ITA Fortec Renault Dallara F301 Renault Sodemo 25:41.502
12 02 Jeffrey Jones USA Manor Motorsport Dallara F301 Mugen-Honda 25:43.248
13 12 Atsushi Katsumata JPN Promatecme UK Dallara F301 Mugen-Honda 25:43.577
14 18 Andy Priaulx GBR Alan Docking Racing Dallara F301 Mugen-Honda 25:50.319
15 20 Rob Austin GBR Menu Renault Sport Dallara F301 Renault Sodemo 25:52.563
Fastest Lap Anthony Davidson 59.765
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